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高校生の時の或る日の休憩時間のことだ。
前の席に座っていた男の子は、そりゃもうよく寝る子で、国語の時間は特にぐっすり眠っていた。
わたしは本を読んでいた。
授業が終わって、彼はぱっと私の方を振り返って
「今日は何した?」と訊いた。
「適当に教科書読んで、内容確認してたよ。それと次は漢字のテストだって」
「そっか。ありがと。」
そしたら彼はふと、視線を落とし私の手元を見て、
「あ、ティファニーで朝食を、だ。題名だけ知ってる。本が好きなの?」
と言い、わたしはその問いにちょっとどぎまぎした。
そのときまで「本が好きなの?」と優しい目で男の子に問われたことなんて無かったし、その後も一度もない。人生でその一回きり。
「ええ、これは私の好きな作家なの」
という答えから読書談義が始まり、彼は村上龍の作品をよく読む男の子だということを識った。
「コインロッカーベイビーが特に好きなんだ」
私は未だに、その本を読んでいない。
後日、母親が父母懇談会から帰ってきて私に、
「S君って男の子と仲いいの?」と訊いた。
「うーん。席が前後でたまに話するけど。なんで?」
と返すと、母は笑顔でこう言った。
「・・・いや、今日はS君のお母さんとたまたま気があって喋ってたんだけど、
懇談会が終わった後、S君が
おふくろ、大丈夫?仲のいい人いないだろ?
ってわざわざ心配して、彼のお母さんのところまで来てたの。
S君のお母さんは、私を紹介して、大丈夫よと言ったら、
ああ!あの本が好きな女の子のお母さんね、良かった。
って言って帰っていったのよ。すごくいい子ね」
彼にはおとなしく真面目できれいな女の子の彼女がいたし、
実はその彼女にはあまり良い感情を抱いていなかったし。
だから何も言えなかった。
ただ、あたたかい感情と切ない感情が胸の中で入り混じった。
顔もタイプじゃないし恋焦がれてもいなかった。
けれど、あのやさしい雰囲気を思い出すと、あの頃がとても懐かしくなる。
あの時間、
彼の寝ている背中とか、
休憩時間の短いやりとりとか、
机を運ぶ大きい手とか、
ゆったりとした笑顔とかを。
今なら、彼と素敵な人間関係がつくれるかもしれないけれど。
高校生のわたしにはできなかった。
彼女の体には紅い斑点がある
原因はまだ、ない
発症すると一切外には出たくなくなる。原因がよくわからないからストレスのせいだろうって、いつもお医者さまに言われる。一度出たらその跡が10年は残るって。女の子なのに。
わたし、ね、
ブローニングを手に入れたら、クレイジースマイルを渡しながら「お幸せに」って言うの
女だって人間だもの
手当たり次第にまず食べたのは ヘンなくだもの
ね、誰が最初に百ドルを手に入れると思う?
男に優しいレズビアンか、男嫌いのダイクか、それともサンタ・クロースか、はたまたイースター・バニーか?
…ああ、わたしアリッサ・ジョーンズのようになりたい。
幸せは知ってるの、
それともコレを「わがまま」って言うの?
シャンペイングラスに安い発泡性のイタリアワインの紅い染み
薔薇の小瓶の液体が、彼女に「明日よ明日」と促しかける
ね、あの色とりどりの布にはもう用がない
早く探さなきゃ 次次次!
あしたは雨だけど、笑顔で戻るね、
だって 子供はみんなしあわせであるべきだから。
たまに、世界がゆるやかに傾いていることってありませんか、
すべての区別がぜんぜんつかなくて
気がついたら何日か過ぎていて
いま
わたしはごちゃごちゃの部屋で黒のタートルネックにワンピースという格好で、なぜか座っています
気持ち悪くないから、シャワーを浴びたのはきっとここ何時間か以内なんでしょう。
鏡をみたら、映っているのはよく知らない顔でした
あれ、おかしいな
私どこにいったのかしら。
ほかのひとはこの世界にいたりするのかな
こんな世界を体験するとなかなか日常に戻れないよね、
だってしなきゃいけないこと全てせずにここに来るのだもの
おーい
おおーい
誰かいるかい